
「画像検査を導入したいが、何から始めたらいいか分からない」——これは、製造現場の品質管理・生産技術のご担当者から、私たち画像検査.comに最も多く寄せられるご相談です。
目視検査の人手不足や検査品質のばらつきを解決する手段として、画像検査(外観検査)の自動化に注目が集まっています。しかし、いざ検討を始めると「カメラは何を選べばいい?」「照明の種類が多すぎて分からない」「そもそも自社のワークで検査できるのか?」と、次々に疑問が出てくるものです。
このページは、そうした最初の疑問を 1から順番に解消することを目的としています。各テーマの要点をまとめつつ、さらに詳しく知りたい方向けの詳細記事へリンクしています。
1. 画像検査とは?まず押さえる3つのポイント

画像検査とは、カメラで対象物の画像を取得し、その画像から特徴を検知して良否を判定することです。 このガイドでは、工場などの生産現場で「人の目を置き換えて検査を自動化する」ことを指します。製品の外観異常、寸法、印字・ラベルの読み取りなど、これまで人が担ってきた工程を自動化できます。
画像検査を成功させる3つの前提
画像検査で大切なのは、「検知したいものを、いかに工夫して見えるようにするか」 です。ここで注意したいのは、人の目で認識できるからといって、画像検査でも認識できるとは限らない という点です。検知したい異常や計測箇所にとって「理想的な画像」を作ることが何より重要になります。そのために、まず次の3点を整理します。
1.検査したいものの特徴を把握する(傷なのか、汚れなのか、寸法なのか)
2.最小の検知サイズを決める(どのくらい小さな欠陥まで見つけたいか)
3.一度に見たい範囲(視野)を決める
この3点を整理して初めて、光学系(カメラ・レンズ・照明)の選定に進めます。なお、近年はAI(ディープラーニング)による外観検査も選択肢になりますが、得意・不得意があるため、まずは撮像環境の考え方を押さえることが先決です。
2. 画像検査は「撮像環境」が9割
なぜ撮像環境がそれほど重要なのでしょうか。ここでいう撮像環境とは、どのようなカメラ・レンズ・照明を使い、装置全体をどう設計するかを指します。
画像検査の工程は、大きく①画像の取得と②画像への処理に分けられます。高精度な検査を実現するうえでより重要なのは、①画像の取得です。元となる画像の状態が悪ければ、どれだけ高度な画像処理を行っても正しい判定は難しいからです。つまり画像検査では、「いかに狙い通りの画像を取得できるか」が肝になります。実際のワークで「狙い通りの画像が撮れるか」を確かめたい場合は、テストセンターで撮像テストが可能です。

3. カメラの選び方|エリアスキャンとラインスキャン
画像検査用のカメラは、大きく2種類に分かれます。
・エリアスキャンカメラ:シャッターを一度切るだけで撮影できる、一般的なカメラ。
・ラインスキャンカメラ:スキャナのように細い棒状の画像を連続的に取り込み、1枚の大きな画像に繋ぎ合わせるカメラ。
選択の基本は「まずエリアスキャンカメラで検討する」ことです。環境構築が簡単で、適応テストも安価かつ容易に行えます。撮影を工夫すればエリアスキャンで解決できるケースは少なくありません。一方、ラインスキャンカメラが必要になるのは、ロールシートのように連続検査し続けるワークや、超高精度(16Kクラスなど)が求められる場合です。
4. 照明の選び方|7種類の照明とその使い分け
画像検査の成否は照明で決まるといっても過言ではありません。照明は大きく次の7種類に分けられます。

実務では、まず汎用性が高く安価な照明から検討するのが経済的です。凹凸があり高精度な汚点検知が必要ならドーム型、乱反射で検知が難しいアルミ等なら同軸照明、というように使い分けます。傷・打痕・汚点をすべて高精度に検査したい場合は、無理に1つの照明で済ませず、工程(撮影)を分けるのが有効です。
>>7種類の照明
>>照明選定のポイント〜ワークに凹凸がある場合〜(ローアングル)
>>バー照明とは
>>リング照明とは
5. レンズの選び方|標準・マクロ・テレセントリック
レンズも用途によって使い分けます。代表的なのは次のタイプです。
①標準レンズ(CCTVレンズ):安価に構成できるため、まずはここから検討。外周部に歪みが出る点に留意。
②マクロレンズ:被写界深度が深く、ワークとの距離を短くしたい場合に有効。
③テレセントリックレンズ:寸法測定に特化し、歪みのない画像を取得できる。ただし大きく高価になりやすい。
④高解像度用レンズ:100万画素超のカメラで使用。①〜③に高解像度対応品がある。
基本は安価な標準レンズから検討し、視野やワークディスタンスに制限があればマクロレンズ、歪みが計測結果に影響するならテレセントリックレンズを選びます。なお、レンズは中心と周辺で解像力が異なるため、検査対象は視野の中心寄りに配置するのがコツです。
>>レンズの選定ミスによる失敗(テレセントリック・歪み・キャリブレーション)
6. 画像検査でよくある失敗例3選
光学系の選定は奥が深く、選び方を誤ると検査そのものが成立しません。ここでは代表的な3つを紹介します。
失敗例①:カメラの選定ミス
一見有利に見えるカラーカメラですが、安価に実現する「ベイヤー方式」は疑似的に色を表現する仕組み上、撮影部分によっては画像がボケ、傷や外観の検査に悪影響を及ぼすことがあります。また「流れているワーク=ラインスキャン」と思われがちですが、ワークがランダムに動く場合や振動を受ける場合は、流動ワークでもエリアスキャンカメラを選ぶべきです。
失敗例②:レンズの選定ミス
画像処理で寸法を測る際、レンズの歪みは外側ほど大きくなります。キャリブレーションはソフト補正のため厳密には限界があり、光学的に歪みを生じさせないテレセントリックレンズが候補になりますが、大型・高価になる点に注意が必要です。
失敗例③:照明の選定ミス
最も汎用的なリング照明は万能ではありません。ワークの肌状態が一定でないと、良好なロットでは検知できても条件が悪化したロットでは検知できなくなる、という失敗がよく起こります。目的に合わせた使い分けが不可欠です。
>>よくある失敗例
7. 画像検査の導入事例3選
実際に画像検査.comで検証・自動化を行った事例です。
事例①:ウォームネジ 歯面の傷検査
歯面の傷を検出する自動検査です。向かい合う白色バー照明で斜めから光を当て、暗視野で観察。ネジを一周させながらラインスキャンカメラで連続撮像し、全サンプルで傷を検知できました。
事例②:パッケージ 賞味期限印字のOCR検査
内容物で膨らんだパッケージの賞味期限印字をOCRで読み取る検査です。ドーム照明で凹凸の影を抑えて文字だけを抽出し、大きく歪んだ状態でも補正して認識できました。
事例③:金属部品 外観検査の自動化
金属部品の傷検査です。不良部分をカメラに正対させて静止撮像し、同軸照明を近づけて暗視野で傷部分のみを反射させる角度に設定。メッキなし・黒点・キズ・変形など複数の異常を検知できました。
8. 画像検査を安定させる「搬送」の視点
意外に見落とされがちですが、画像検査がうまくいかない原因の半分は搬送系にあります。 どんなに優れた光学系を選んでも、ワークの位置決めがずれたり、コンベアの振動でブレたりすれば、安定した画像は得られません。
最適な露光時間に合わせた搬送速度の設定や、振動を考慮した搬送との同期は、装置の「設計段階」で盛り込む必要があります。画像検査.comを運営する岡部機械工業は、検査装置だけでなく搬送装置まで一貫して設計・製作できるため、撮像環境と搬送の最適化を構想段階からご提案できます。
9. 導入コストと進め方
費用は光学系の構成によって大きく変わります。「同じ機能でも、標準ユニットをカスタマイズ設計するより、必要な機能だけを個別調達した方が安くなる」ケースもあるため、要件に応じた最適構成の診断が重要です。テストセンターでは、実施したい内容をヒアリングし、どんな構成が最安値かを診断します。

まとめ|まずは「できるか」を確かめることから
画像検査の導入は、①検査要件とワークの特徴を整理し、②撮像環境(カメラ・レンズ・照明)を最適化し、③搬送まで含めて設計する——この順番で進めることが成功の近道です。
「自社のワークでも画像検査できるのか?」——その答えを最短で得る方法が、実際のワークでの撮像テストです。画像検査.comでは画像検査専門のテストセンターを運営しており、サンプルをお持ち込み・ご郵送いただければ、どのような構成なら検査の自動化・無人化が可能かを診断します。
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