カメラ選定のポイント

外観検査には様々な種類のカメラが使用されています。レンズ・照明と同様に、カメラも用途や条件に応じて上手に使い分けを行うことが重要となります。そこで、今回は、外観検査のカメラ選定における主要なパラメータについてお伝えします。

>>画像検査(外観検査)における カメラ・照明・レンズ選定のポイント

外観検査のカメラ選定における主要なパラメータとは?

カメラの選定における主要なパラメータとして、
1.スキャン方式
2.画素数と画素分解能
3.感光方式
4.通信方式、転送速度(F
PS)
の4つが挙げられます。
これらの4つの主要なパラメータを理解して、正しいカメラを選定することで、高度な外観検査を実現することが可能です。今回は、上記の主要なパラメータについて詳しく説明します。

1.スキャン方式

スキャン方式には、エリアスキャンカメララインスキャンカメラの2種類があります。各々の特徴について簡単に説明します。
>>エリアスキャンカメラとラインスキャンカメラ

エリアスキャンカメラ

エリアスキャンカメラでは、シャッターを一度切るだけで撮影を行うことができます。そのため、ワーク姿勢が変化する場合(振動などでブレる)であっても、ブレのない画像を撮影することが可能です。ただし、エリアスキャンカメラでは、ワークがカメラの視野内に入ったことを認識する必要があるため、ワークを検知するセンサが別途必要になります。

ラインスキャンカメラ

一方でラインスキャンカメラは、連続的に細い棒状の画像を取り込んで、それらを繋げることで画像を撮影します。そのため、ロールシートなど、画像を常に取り込み続ける必要があるワークに向いております。あるいは、ワークが来たことを検知できない場合、ラインスキャンカメラで取り込み続け、後で画像処理を駆使してワークを検査するといった検知センサのような使用方法も可能です。ただし、条件設定が難しく、搬送系の速度と取り込みの間隔を同期させる必要があります。同期がうまくいかないと、伸びた画像、縮んだ画像になり、正しく画像を撮影できません。

これらの2種類のスキャン方式の選定基準ですが、まずはエリアスキャンカメラで検討することを推奨します。エリアスキャンカメラは環境の構築が簡単で、適応テストが安価かつ容易に行なえます。さらに、エリアスキャンカメラを用いて、画像取得条件等に工夫を施せば、あらゆる画像撮影を問題なく行うことが可能です。ラインカメラを選定した方が良い場合は、連続的に検査が必要なワーク、あるいは特殊な事情で画像を取り込み続ける必要がある場合などに限られます。

2.画素数と画素分解能

画素数とは、画像を構成している点の数のことを指します。画素数が上がれば上がるほど、より綺麗且つ鮮明な画像となります。一方で、画素分解能とは、画像を構成している点(画素)の大きさのことを指します。すなわち、画素分解能は画像処理で確認できる最小の大きさとなります。

例えば、横画素数2048pixのカメラを使用しており、横方向視野が50mmである場合は下記のような式で画素分解能を求めることが可能です。

50mm(横方向視野)÷2048pix(横画素数)=0.02mm/pix(画素分解能)

この例の場合では、画素分解能が0.02mm/pixであるため、0.02mm/pix以下の汚点や傷等は撮影した画像から識別することができません。ただ、画像取得環境等により画素分解能には多少のばらつきが発生します。そのため、上記で求めた画素分解能の3倍の画素分解能を余分に設ける必要があります。

0.02mm/pix(画素分解能)×3倍(ばらつき)=0.06mm/pix(繰り返し分解能)

この場合では、0.06mm/pixが最適であると言えます。

上記のような計算式により、画素分解能が求めることが可能です。カメラを選定する際はこの画素分解能を計算した後に、逆算して最適な画素数のカメラを選定しましょう。

3.感光方式

感光方式は、モノクロ、カラー、特殊の3種類があります。下記にて各々の違いを簡単にご説明します。

モノクロ
モノクロでは、光の強弱を256階調(8bit)の色の濃さに変換してモノクロ画像化します。

カラー
カラーでは、赤/緑/青のそれぞれの波長成分に対して光の強弱を取得し、これらを合成することで、カラー画像化します。

特殊
特殊では、特定の波長帯の光に対して高い感度を発揮し、分光する感光方式です。例えば、特殊な感光方式を用いることで、赤外光で透過検査を行ったりすることが可能です。

これらの感光方式の選定に関してですが、基本的にモノクロを選定することを推奨します。ただし、色でのワーク識別が必須な場合はカラーを選定する必要があります。モノクロ、カラーでもワークを識別できないといった特殊な場合は、特殊な感光方式を選定しましょう。

4.通信方式、転送速度

ここで挙げる通信方式とは、カメラと画像処理システム(PC)との接続方法のことを指します。下記にて、通信方式の種類についてご説明します。

GigE Vision
GigE Visionは、LANケーブルを用いた通信方式です。既存のイーサネット環境を使用することでができ、複数カメラへの接続・制御が可能です。さらに、他の通信方式と比較すると、非常に安価であり、ケーブルも数十メートル程度まで長くすることも可能です。しかし、GigE Visionは、画素数が大きい画像等を使用する場合には、通信速度等が遅くなる場合があるので注意が必要です。

CameraLink
CameraLinkは、専用ケーブルと専用キャプチャモードを用いた通信方式です。他の通信方式と比較しても、高速且つ高信頼性があります。また、複数の接続モードあるため、必要な通信速度に応じて使い分けを行うことが可能です。しかし、CameraLinkでは、ケーブルを長くできません。さらに、各キャプチャボード専用様式の設定ファイルの準備が必要となりますので、注意してください。

CoaXPress
CoaXPressは、CameraLinkと同様に専用通信ケーブルと専用キャプチャモードを用いた通信方式です。CoaXPressはCameraLink以上の超高速且つ超高信頼性があります。さらに、ケーブルも数十メートル程度まで長くすることが可能です。ただし、CoaXPressは非常に高価であるため、用途に応じた選定が非常に重要となります。

USB3 Vision
USB3.0規格のUSBポートとケーブルでの通信方式です。環境構築が非常に容易であり、USBハブを用いた複数台接続が可能です。しかし、ケーブルが短く(最大5m)、通信速度はそこまで早くありません。(GigE Vision以上 CameraLink未満)

以上が通信方式の主な種類となります。これらの選定にあたって、まずは環境構築が容易なGigE Vision、USB3 Visionのどちらかを検討することをお奨めします。具体的には、画素数と通信速度(FPS)がシステムにマッチするかを鑑みる必要があります。もちろん、これらの通信方式で対応できない場合は、高価ですがCameraLink、CoaXPressを選定する必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は外観検査のカメラ選定における主要なパラメータについてご紹介いたしました。画像検査.comでは検査工程の省人化・無人化ニーズにお応えすべく、日々技術を磨いております。お客様のご要望に最適な条件で、検査装置を製作することが可能です。さらに、画像検査.comでは製作画像処理の技術とノウハウだけでなく、自動機の組立・検査・出荷梱包ラインまで一括で設計・製作を行うことが可能です。

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