製品のわずかな色調変化やムラは品質劣化のサインになり得る一方、外乱光や材質の光沢・表面状態に左右されやすく、自動化が難しい検査の一つです。

本稿では、製造技術・品質保証の観点で「変色検査を安定稼働させる勘所」を、ルールベース/AIの使い分けと光学設計の考え方を中心に整理します。

1. 変色検査(色検査)とは:なぜ自動化が難しいのか

変色検査は、色ムラ、色抜け、印刷不良、熱による焼け、酸化による変色などを検知する工程です。

人の目は体調や周囲の明るさで判断が揺れやすく、基準が属人化しやすい一方で、装置化すると「撮り方が変わるだけで結果が変わる」という別の難しさが出ます。

特に難易度を上げる要因は次の3つです。

  • 外乱光:作業灯・窓光の影響で見え方が変わる
  • 反射特性:光沢、ヘアライン、めっき、樹脂の透過などで反射が変わる
  • 良品ばらつき:ロット差や成形条件、熱履歴で良品側の幅が広がる

2. 変色検査を自動化する仕組みとプロセス

一般的にはカメラで撮像し、画像から特徴を抽出して合否判定します。

  • 撮像:対象を撮影し、検査領域(ROI)を切り出す
  • 前処理:ノイズ低減、輝度ムラ補正、位置ズレ補正
  • 特徴抽出:色差、濃淡、類似度、テクスチャ等
  • 判定:しきい値判定、スコアリング、分類(AI)など

変色検査を安定させる勘所(再現性づくり)

変色検査は、画像処理やAIの前に「同じ条件で撮る」再現性づくりが重要です。色や濃淡は、外乱光(作業灯・窓光)や照明角度、ワークの光沢・粗さ、カメラ設定(露光・ゲイン・ホワイトバランス)に影響されやすいためです。

現場では①遮光や専用照明で外乱光を抑える、②カメラ設定を固定して条件を変えない、③良品基準(マスタ)を用意して比較軸を作る——といった基本設計が安定稼働の土台になります。

加えて、運用で効くのが「変化要因を先に潰す」ことです。例えば、照明の経時劣化や交換、カメラ交換、レンズ汚れ、ワーク温度差などは、変色そのものではないのに見え方を変えます。
保全点検(清掃、照明の状態確認)と、交換時の再評価手順を決めておくと、誤判定の再発を抑えやすくなります。

3. ルールベース外観検査とAI外観検査

ルールベース外観検査

「この範囲を超えたら不良」といったルールを定義して判定します。
処理が軽く高速化しやすいため、ライン上のタクトが厳しい工程や、判定根拠を明確にしやすい工程で有効です。
特に、変色が一定方向に現れる(濃くなる/薄くなる等)ケースや、検査領域が明確なケースでは安定しやすい傾向があります。

AI外観検査(ディープラーニング)

AIは、良品・不良品の例から特徴を学習し、複雑なばらつきがある対象でも異常を検知できる場合があります。

一方で、学習データの偏りや設備条件の変化(照明交換・カメラ交換・季節変動など)で判定が揺れることがあります。
そこで実務では、(1)ルールベースで安定しやすい部分を先に固める、(2)境界が曖昧でルール化しにくい領域にAIを適用する、(3)最終判定は両者のスコアを統合する——といった「ハイブリッド」が短い立上げで効果を出しやすい構成になります。

4. 変色判別能力を引き出す光学の選択肢(目的に応じて使い分け)

変色検査の成否は、対象物の反射特性(光沢・めっき・樹脂の透過など)に合わせて「どの光を、どの角度で、どのように当てるか」で大きく変わります。

  • ハレーションが強い:照明角度の最適化、偏光の併用
  • 凹凸の影響を抑えたい:ドーム照明などで均一照明
  • 差を強調したい:波長選択、照明色の切替

その中の選択肢の一つとして、複数波長で撮像して差を“見える化”する方式(例:マルチスペクトル照明+モノクロ撮像)があります。
RGBだけでは埋もれやすい差分を強調しやすく、微小な色ムラや光沢材の検査で効果を発揮することがあります。

重要なのは「特定方式が万能」ではなく、ワークと不良モードに合わせて光学を選ぶことです。

5. 業界別に見る変色検査の自動化例

特注装置メーカーとして、多種多様な業界の現場課題を解決してきた具体的な事例を紹介します。

樹脂・成形・シート業界の例

ペットボトルキャップ(PP/PE)や樹脂シートの製造では、原材料を溶かして金型に送り込む際の熱変化により、変色や焦げが発生します。
光沢のある樹脂表面は光の反射が激しいですが、マルチスペクトル照明を活用することで、樹脂特有の反射を抑え、微小な色ムラを安定して検出できるようになります。

食品業界(加工・容器)の例

食品容器(耐熱ポリスチレン等)の成型プロセスでは、温度変化による「焼け」が頻発します。
また、食品そのものの検査では、トマトの熟度を色味や硬さのデータと紐付けてAIに学習させることで、人間の目と手に代わる高精度な自動選別が実現しています。

医薬品・化粧品業界の例

錠剤の色ムラや、化粧品容器の微細な印刷抜けは、ブランドイメージだけでなく「中身の変質」を疑わせる重大な欠陥となります。
高分解能なカメラと専用の薬液耐性ハウジングを組み合わせ、クリーンルーム内での高速全数検査を実現します。

金属・めっき業界の例

金属パーツの熱処理による変色や、めっき加工のムラは、防錆性能に影響を及ぼす可能性があります。
金属特有の強い反射(ハレーション)を抑える偏光フィルターや特殊ドーム照明とカメラを組み合わせることで、表面の状態を正確に数値化します。

電子部品・半導体業界の例

基板上のレジストの変色や、金めっきの薄い変色は、将来的な接触不良の原因となります。
極小エリアの微細な色の変化を捉えるため、高倍率テレセントリックレンズと高精細センサーを組み合わせた特注光学系が活躍します。

印刷・テキスタイル業界

布地や紙への印刷における色抜け、色調の微妙な変化を監視します。
ラインスキャンカメラを用いることで、広範囲かつ連続的な流れの中で、わずかな色彩の変化をリアルタイムで検知し、歩留まりの改善に貢献します。

画像検査・外観検査の自動化なら、お任せください!

変色検査の自動化を成功させるポイントは、対象物の特性に合わせて「ルールベース」と「AI」を使い分けること、そして何より最新の光学技術を駆使して「色の違いを可視化する」ことにあります。

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