画像検査エンジニアの技術ブログ

半導体製造プロセスにおける品質に関する課題

半導体ウェーハに多数の回路パターンを形成する前工程では、主に洗浄、成膜、レジスト塗布、露光、現像、エッチングなどのプロセスを300〜400回繰り返して電気回路を作り上げます。

しかし、回路パターン形成前のベアウェーハに存在する欠陥や、各前工程で生じる欠陥が半導体の品質に影響を与えることがあるため、外観検査は非常に重要です。

ベアウェーハには、製造過程で生じたキズやクラック、汚れ、加工ムラ、結晶欠陥などが含まれている可能性があり、これらが回路パターン形成時に影響を与えるため、回路形成前に厳密な受入検査が必要です。

 

特に、結晶欠陥が多い化合物半導体では、この検査の重要性がさらに高まります。回路パターン形成中にも、各プロセスで特有の欠陥が発生することがあり、管理基準は現場ごとに異なるものの、複数回にわたる外観検査が行われます。

 

「ウェーハ外観検査」にはさまざまな方法があり、目的に応じて使い分けられます。

例えば、SEM(走査電子顕微鏡)を使ったパターンサイズ検査、ウェーハ全体を迅速に観察して欠陥を検出するマクロ検査、マクロ検査で見つかった欠陥を詳細に調査するミクロ検査、そしてパターン形成されたウェーハ上の各チップの重ね合わせ誤差を確認するオーバレイ検査などが含まれます。

 

目視検査・抜き取り検査から全数自動検査へ

装置は、肉眼では確認できない微細な欠陥や情報を取得できる一方で、検査に時間がかかるため、今でもマクロ検査では検査員による目視検査が行われることがしばしばあります。

しかし、目視検査には、検査員の確保や個人によるばらつき、不具合発生時の追跡が難しいという課題があります。

岡部機械工業では、こうした課題を解決するために画像・外観検査装置の設計・製造を実施し、従来の目視検査から全数検査の自動化サポートしています。

 

現段階では、AI技術は収集データや学習方法が適切でないと判定精度に影響を与えたり、判断理由が不透明になる「ブラックボックス化」といった課題もあります。

しかし、テクノロジーの進化に伴い、信頼性の高いAI技術の登場は時間の問題と考えられます。半導体検査においても、その技術が普及するのを待ってからデータ収集を始めると、対応が遅れるリスクがあります。そのため、今のうちから高精細な画像データを蓄積しておくことが重要です。

労働人口の減少や検査作業の属人化という問題もあり、検査の自動化は喫緊の課題です。早期に対策を講じる必要があります。

 

画像検査装置導入事例をご紹介

事例①:超高精度位置計測・位置決めの自動化

自動化の背景

単体で超高精度のワーク位置計測を行う装置は世の中にありますが、その計測結果をもとに、精度を維持しつつ機械的位置決めを行うためには、

計測から位置決めまで、ワークの受け渡しなく一体装置として構成する必要があります。

そのような装置は世の中になく、当社がお客様の要望を聞き、一から設計・製造をすべて一貫して行いました。

 

装置のポイント

1.超高解像度カメラの採用

本装置では、1億2千万画素のエリアスキャンカメラを使用し、高精度かつ広視野を確保しています。

接続方式がCoaXPressという高速通信規格なので、超高画素であるものの取り込み速度を維持し、タクト時間の短縮をしています。

レンズは、寸法計測用にゆがみのないテレセントリックレンズを採用しました。

照明は、検討の結果、最もワークがはっきり撮像できた同軸照明方式としました。テレセントリックレンズ鏡筒に差し込んで同軸照明となるスポット照明を採用しています。

 

こういったカメラやレンズを柔軟に組み合わせて、目的に合う画像処理を実現しています。

 

2.温度ドリフトに対してロバストな機械構造

本装置のように、超高精度の位置決めを要求される装置は、温度変化による部材の熱膨張も精度に影響するようになります。

それを装置設計段階から予想し、「スーパーインバー」等の熱膨張に非常に強い素材を採用しています。

 

3.カメラ計測⇔装置制御の連携

画像処理の開発、装置制御ラダー開発ともに当社内で行っております。そのため連携も様々な方法で対応でき、お客様要望に柔軟に応えています。

本装置では、計測結果の出力や、お客様が用意された上位PCとの連携についても、ご要望通りのものを実現しています。

 

事例②:ICチップのリード計測

実装済みICチップの検査

ICチップの検査において、特に下図のような実装済みのものは周囲に他のICや基板パターンなどがあり、それが明るさの変動などの外乱となりうることがあります。

このような状況では、いかに対象部分を正確に検出することができるかがまず重要になってきます。

当社で使用している画像処理ライブラリ HALCON は、ロバストで高速なエッジベースのパターンマッチングの手法を備えており、外乱に対しても強い認識能力があります。

下図のように、計測したいリード間の部分を赤色矩形で指定し、さらにチップの印刷をパターンマッチングのモデルとして登録します。

 

このモデルを別のICチップに対して適応すると、下図のように正確にチップ印刷部をサーチして位置決めし、計測したい矩形を青色枠のように移動させることができます。

その後、リード間の輝度変化を読み取って青色枠内の赤線を引き、リード計測を自動処理しています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、半導体業界の外観検査装置の導入事例についてご紹介しました。

画像検査.comでは、検査工程の省人化・無人化ニーズにお応えすべく、日々技術を磨いております。 画像処理の技術とノウハウだけでなく、自動機の組立・検査・出荷梱包ラインまで一括で設計製作可能という強みがあります。 

搬送から画像検査までトータルしたご相談に対応可能です。 画像検査でお困りごと、お悩み事がある方は、画像検査.comまでお問い合わせください。下記より、当社の導入事例をご覧ください。

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